伊豆大島の「大島牛乳」って?特徴とその成り立ちについて
伊豆大島の温泉、ホテル、お土産屋さんでよく目にする牛乳、「大島牛乳」。名前の通り伊豆大島島内で生産を行っている牛乳です。
今回は大島の自然豊かな環境で乳牛たちが生み出す大島牛乳の特徴や成り立ちを探ってみましょう。
伊豆大島の酪農産業のなりたち
伊豆大島はかつて「東洋のホルスタイン島」と称されるほど酪農が盛んな土地でした。
伊豆大島の自然環境は、牛が好むミネラル豊富な青草が一年を通じて茂るため、ホルスタイン種の飼育に最適な場所です。
しかし、戦後から輸入品の台頭や大手メーカーとの価格競争、牛乳の消費減少、島内の高齢化、働き手の不足などさまざまな理由が大島牛乳を襲います。
そして2007年2月、ついに大島牛乳の工場は閉鎖され、廃業に追い込まれてしまいました……。
島から姿を消してしまった大島牛乳。しかし、島内に住む大島牛乳の愛好家たち、学校の栄養士さんなど約190人が中心となり、「大島牛乳愛好者同好会」を結成。
このグループで大島牛乳の復活を目指し、熱心な活動を始めました。大島牛乳は給食にも提供されており、島っ子はみんな大島牛乳で育ちます。
この文化を途絶えさせてはいけないと島の人達が努力した結果、大島牛乳はいまも存在しているのです。
大島牛乳の特徴や味わい
大島牛乳は、その濃厚な味わいで多くの人々を魅了しています。
島内で飼育される乳牛たちから搾乳された牛乳は、一切の添加物や保存料を含まず、自然の風味を余すことなく味わうことができます。
口に含むと、まろやかで滑らかな口当たりが感じられ、その後に広がる豊かなコクは他の牛乳にはない特長です。
豊富な加工品も魅力です
大島牛乳は「大島牛乳アイス」、「大島バター」、「牛乳せんべい」などの原料としても利用されています。
大島バター
大島牛乳を使って作られる「大島バター」もまた絶品です。
大島牛乳と大島産の塩のみを使用して丁寧に製造された大島バターは、その豊かな風味とコクが魅力であり、他のバターとは一線を画します。
その品質は東京・白金台にある結婚式場「八芳園」も認める実力で、クロワッサンおよび『Maruta食パン』の原料としても使用されています。
大島牛乳アイス
大島牛乳アイスは大島牛乳を原料としたアイス。
それまでは主にアイスといえばぶらっとハウス内のアイスクリームとして提供されてきましたが、2013年にカップアイスとして発売されるようになりました。夏の大島には欠かせない一品です。
牛乳せんべい
大島でのおやつやお土産に人気の牛乳せんべいの素材としても利用されています。
風味豊かな大島牛乳を使用したせんべいは、島の特産品として観光客にも人気を集めています。
島内の飲食店でも。
また、島内のカフェをはじめとした飲食店では、大島牛乳を使った様々なドリンクやスイーツが提供されています。
大島牛乳を売っている場所
大島牛乳の主な販売場所は、大島島内であればスーパー、ぶらっとハウス、御神火温泉内などにあります。
島外の場合は、SHOP竹芝にミニパックのみ販売しています。(船の就航状況等によっては在庫がないこともあります)
新開牧場について
ぶらっとハウスそばの新開牧場は、まさに大島牛乳の原料となる乳牛たちが暮らす牧場。大島牛乳を飲みながら牛さんの観察もできるおすすめスポットです。ぶらっとハウスは内外どちらもイートインスペースがあるため、天気のいい日は牧場の牛さんを眺めながら牛乳を飲んだり、大島牛乳のアイスを食べたりできます。
現在の大島牛乳
現在の大島牛乳はわずか5名のメンバーで運営されています。数年前までは、平均年齢が60歳以上だった中、次世代を担う若手の柳瀬聡子さんが活躍。彼女が社長に就任したことで、新たな風が吹き始めています。柳瀬さんは大島高校の農林科を卒業後、大島牛乳に入社した島っ子。みずからも大島牛乳を飲んで育っています。
こうして、大島牛乳はますます未来へ向かって歩みを進めているのです。
伊豆大島の大島牛乳には、島内の豊かな自然と牛への愛情が詰まっています。島の自然と共に育つ大島牛乳の美味しさを是非一度味わってみてください。